難病で公費対象の膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)に有効な治療法があります。
皮膚の症状改善、薬使えない患者に光。
皮膚が赤く腫れ、膿が溜まる膿疱性乾癬は免疫を抑える薬などで治療するが、全身に広がると治り難く、再発を繰り返すことも多い。
最近、血液中の白血球の一部を取り除く、顆粒球吸着療法という治療が試みられ一定の効果を上げている。
乾癬の種類
乾癬は皮膚の病気のひとつでいくつか種類がある。
最も多い尋常性乾癬は、皮膚が赤く腫れて盛り上がり、角質が白くはがれ落ちてくる。
このほか、関節の変形や痛みも起きる関節症性乾癬などもある。
膿疱性乾癬もこうした乾癬の一つ。
皮膚の赤い腫れのほかに膿が溜まったぷつぷつができる。
全身に広がると、高熱が出て体がむくんだり、関節が痛んだりすることもある。
子供から高齢者までかかることがあり、原因はよくわかっていないが、何らかの感染症や妊娠、ストレスがきっかけで起こることがある。
ステロイドの飲み薬を服用していて急に中止したときにも起きることがある。
膿疱性乾癬の治療法
治療は角質の増殖を正常にする作用があるビタミンAの関連物質のエトレチナートという薬や免疫を抑える薬などを飲み、皮膚にステロイドやビタミンD3を含む軟膏を塗る。
関節リウマチなどの治療に使われ、炎症を抑える生物学的薬剤という種類の薬を点滴注射したり、
皮膚に紫外線を当てる治療をしたりすることもある。
顆粒球吸着療法とは
これらの治療で効果がなかった患者に対して、2012年10から保険が利くようになったのが顆粒球吸着療法。
膿疱性乾癬の皮膚にできる膿の中には、血液に含まれる白血球の一種、顆粒球が活性化された状態で溜まっている。
この治療では血液中の活性化された顆粒球や単球という成分を取り除く。
肘の内側の静脈に針を刺し、対外にでた血液を直径2ミリのビーズの詰まった容器に通し、顆粒球などを吸着させる。
血液を外に出すときには血液が固まりにくくなるヘパリンなどを注入する。
ビーズは合成繊維などの材料となる酢酸セルロース製で、表面に細かい凹凸がつけてある。
この表面の凹凸に,血液中の免疫にかかわる物質がくっつき、この物質に顆粒球などが反応して吸着される。
顆粒球吸着療法の治療時間
治療にかかる時間は1回1時間程度。
これを週一回づつ合計5回実施する。
14人の患者に治療したデータでは、全員が治療後に皮膚症状が何らかの改善をした。
うち7人は皮膚の膿が完全に消え、10人はむくみが消えた。
また10人は治療終了後10週間以上効果が持続した。
副作用として3人に頭痛、めまいなどがあったが治療後に消えた。
顆粒球吸着療法を実施する病院
この治療を実施している順天堂大学皮膚科教授の池田先生は、
治療後3ヶ月から半年程度、他の薬を使わずによい状態を保つ人もいると話す。
膿疱性乾癬の治療薬には妊娠中に使うと胎児に影響が出たり、
子供には成長障害がでたりすることもある。
妊婦や子供を初め、既存の薬が使えない人にはよいではないかと話す。
51特定疾患の難病は治療費の患者負担はあまり変わらない。
ということは出来るだけ最善の治療を受けたいものです。