原発性マクログロブリン血症の貧血-Hb値10未満,血小板減少-10万未満,寝汗,体重減少,リンパ節腫大,脾腫

80歳の男性です。
数年前から人間ドッグで貧血傾向に有り、
4ヶ月前、ヘモグロビン8.8g/dlで造影CTと内視鏡検査を受けましたが異常は診られず骨髄穿刺を行いました。
免疫グロブリンIgMは1375mg/dlで原発性マクログロブリン血症と診断されました。
直近の検査ではHb値8.9、血小板数43万マイクロリットルです。
主治医から抗癌剤の治療を勧められていますが治療を始めたほうがいいのでしょうか?

原発性マクログロブリン血症の治療開始時期は?

原発性マクログロブリン血症は悪性リンパ腫の一種です。
IgMが3000以上になると血液の粘り気が強くなる過粘稠症候群が起こりやすくなります。
しかし初期の頃はあまり症状がありません。
貧血(Hb値10未満)、血小板減少(10万未満)、寝汗、体重減少、リンパ節腫大、脾腫(脾臓の腫大)など疾患に関連した症状が出てきたら治療を開始します。
あなたの場合、Hb値が10を切っていますので治療の対象になります。
ただしこれは骨髄中に腫瘍があってのことなのか、溶血による貧血なのかを調べた上で治療するかどうか決めたほうがいいでしょう。

原発性マクログロブリン血症にはどのような抗癌剤がありますか?治療効果は?

抗癌剤1種類を使う治療法と、複数使う治療法があり、代表的なものは「リツキサン+トレアキシン」併用療法です。
原発性マクログロブリン血症は治療しない人も合わせると、平均的な予後は5年以上だと言われています。
「リツキサン+トレアキシン」治療の奏効率は約95%で再発せずに生存する期間の中央値(無増悪生存期間中央値)は69.5ヶ月です。
ただしこれは臨床試験の結果でここの患者さんに当てはまるわけではありません。

産経新聞平成30年2月27日の生活覧、癌電話相談よりです。

血小板減少症の原因がピロリ菌の可能性もある。

リンパ漏れの原因は手術中の結紮、電気メスで凝固後の再開通

70歳の妻は2ヶ月前に卵管癌で標準手術(子宮と両側の卵巣卵管及び大網の切除)を受けました。
リンパ節転移が多数あり、リンパ節を115個切除。ステージIIIaの漿液性腺癌の診断で術後化学療法でTC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)を行っています。
術後からリンパ液が腹部に漏れて止まらず、苦しんでいます。
主治医からは様子を診るしか無いといわれていますが対処方法はないでしょうか?

卵管癌標準治療後にリンパ液漏れが止まらない

卵巣がん、卵管癌の手術において、骨盤、傍大動脈リンパ節郭清は、手術部位がお腹全体に拡大され、
手術時間も長くかかるため、術後合併症が多くなります。
代表的なものは腸閉塞とリンパ漏れです。

リンパ漏れは手術後1ヶ月の時点で経腟超音波検査を行うと、量の多少はともかく100%近くにみられますが、大量のリンパ液貯留は5~10%です。
特にリンパ節転移が複数陽性であると、この頻度はより高確率です。
リンパ漏れの原因は、手術中に結紮(糸で縛る)、電気メス(焼灼術)で凝固するなどしたはずのリンパ管の再開通です。

リンパ管が自然に閉じない場合は?

大量のリンパ漏れがあっても大部分は3ヶ月程度のうちに減少しますが、1~2%は3ヶ月たっても治まらず、腹部膨満感、食欲低下、そして早期再発したのではないかという不安に悩みます。
さらに脱水、栄養不良、足のむくみ、また血栓症の発症など重症化するので、2~3週間ごとに腹壁を穿刺してリンパ液を排出します。
通雨情は三ヶ月ぐらいの間に、貯留するリンパ液の腹圧でリンパ管は自然に閉塞して事なきを得ます。

極めて稀なことですが、4ヶ月以上経つのに改善しない場合はリンパ漏れのあるリンパ管を同定しそれを再回復して結紮することも有ります。

平成30年2月20日火曜日の産経新聞生活欄、癌電話相談より。

全摘と温存の一番の違いは残っている乳腺の量

44歳女性です。
非浸潤乳がんと診断されて手術予定ですが、全摘か温存(部分切除+放射線治療)か悩んでいます。
どちらも余命は変わりないと聞きましたが、手術後の局所再発が心配です。
再発したら全摘か否かで差は有りますか?
温存後の再発が浸潤癌であった場合、全摘して化学療法が必要となる可能性があるのなら最初から全摘したほうがいいと感じてしまいます。

非浸潤乳がんで全摘か温存かで悩む

続きを読む

γーGTPが高いで胃がんと大動脈周囲リンパ節転移

79歳母は脳梗塞で入院中、肝機能検査でγーGTPが100から550に上昇したため、CTとエコーと胃カメラで検査した所、多発肝転移と大動脈周囲リンパ節転移を伴う胃がんと診断されました。
主治医から抗癌剤をやるかやらないか決めるように言われました。
母は現在、自分で日常生活を送れています。
今後どのように治療したらいいでしょうか?

転位のある胃がん、高齢者の治療法は?

肝臓に複数の転位がある胃がんの場合、治療の中心は全身に効く抗癌剤となります。
大動脈周囲リンパ節転移は、それだけであれば抗癌剤治療を行った後に治癒を目指した手術を行うことが有りますが、多発肝転移も有る状況では治癒を目指した手術の対象とはなりません。
ここで抗癌剤治療の目的は癌の進行を抑えることであり、残念ながら治癒を望むことは難しいです。

79歳だからといって抗癌剤治療ができないということはないですが、副作用によって残された時間の生活の質が損なわれる可能性も有り慎重に考える必要が有ります。
分子標的薬であるハーセプチンは比較的副作用が少なく、これが効くタイプの胃がんであれば効果が期待できるので内視鏡検査で得た組織からハーセプチンが効くタイプかどうかを確認する必要があります。
ハーセプチンが効くタイプであれば標準的には、抗癌剤+ハーセプチン、効かないタイプであれば抗癌剤のみとなります。
抗癌剤の治療の内容や量は年齢や臓器の機能、副作用に応じて変更が可能です。

脳梗塞のため血をさらさらにする薬を服用しており、内視鏡検査の際に出血していたので心配です

高血小板薬を飲まれていることも有り頬って置くとまた胃の腫瘍から出血する可能性があります。
腫瘍からの出血に対し、症状をおさえるための姑息的な胃切除が必要になる可能性があります。

左右の肺の形に沿って糸状の陰。悪性なら治療法は?

67歳の母は健康診断で肺に異常があり、CT検査、PET検査で左肺中央部に大きさ2~3センチの陰が見つかりました。
主治医から癌の疑いがあるので手術しましょうと言われました。
確定診断がつかないのに画像診断だけでいきなり手術することはあるのでしょうか?

肺がん、確定診断なしに手術もある?

今回、仮に気管支鏡検査を行い、陰影部分から採取した細胞や組織の病理検査でがん細胞が確認できなかったとしても、
がんではないという結論に至らない場合が多く有ります。
その場合、CT画像などからがんがかなり強く疑われるときは、手術によって腫瘍部分を切り取って
調べる診断的切除がひとつの選択肢になります。

これは癌の診断がついていても、あるいは診断のためであっても、
病変の部位によっては同じ切除(肺葉切除や区域切除)になるばあいもあります。
ですから、気管支鏡検査をせずに診断的手術をするという選択肢も有るわけです。
その場合、癌ではない可能性も有ることは認識して頂く必要があります。

左右の肺の形に沿って糸状の陰。悪性なら治療法は?

画像を拝見していないのでわかりませんが、胸膜播種(きょうまくはしゅ)かもしれません。
がんの転位には血液の中に入って脳や肺、肝臓など他の臓器に転移する血行性転移、
リンパ管に入り込むリンパ行性転位、
その他に播種という広がり方もあります。
肺の表面の胸膜をがんが破って胸の中(胸腔)に細胞がこぼれ落ちてしまうのが胸膜播種です。
小さいものなので画像ではなかなかわかりません。

開胸した場合、肺がんの根治手術をする前に胸の中に播種があるかないかを見ます。
覇種があると病巣を切除しても治癒する確率はきわめて低いので切除は行わず抗癌剤による全身治療になります。

平成29年12月12日産経新聞生活欄の癌電話相談より。

子宮頸がん0期の手術後再発する確率6%

37歳の女性です。
3年半前、子宮頚部上皮内がん(0期がん)で円錐切除術を受けました。
その2年10カ月後、膣に2センチの腫瘍が見つかり、子宮頸がんⅡ期として再発。
子宮、卵管の全摘、リンパ節切除を行い、術後放射線治療で外部照射と腔内照射を受けました。
0期でも短期間で再発することが有るのでしょうか?

子宮頸がん0期間で円錐切除術後、短期間で再発

40歳未満で妊娠希望のある子宮頸がん0期の患者が円錐切除により子宮温存を選ぶのは一般的でしょう。
子宮頸がん0期が円錐切除により治る確率は
20代で98%
30代で97%
40代で95%
と加齢に伴い減少し、
50代以降は90%以下になってしまいます。

治らない原因は、主に子宮頚管に切除端より奥に病巣が残るためですが、円錐切除部位とは別の部位に新たに癌が発生することも数%あります。
相談者は30代なので、97%の確率で一時的に治癒しますが、病巣が存在する確率3%、新たに発生する確率3%を加えて、6%は子宮頸がんが再発することを覚悟しなければなりません。

円錐切除の方法は、通常メスのほか、電気メス(焼灼術)やレーザー光線による切除などもがありますが、いずれの方法でも手術後に子宮頚部の変形、狭窄化が多少とも起こります。
特に閉経後や産褥で授乳中などの時期では月経が来ないためにこの変化が起こりやすく、子宮頚管の狭窄閉鎖が起こることも珍しくありません。

このため円錐切除後に子宮頚管内に病巣が大きくなるまで気づかず、おかしいと思った時には進行がん(0期ではない浸潤がん)になっているということも起きます。

円錐切除後の暴走発見には子宮腟部のみならず子宮頚管内に検査器具を挿入し、頚管内の細胞診断をすることが必須です。
円錐切除術後は一般より子宮頸がんの発症リスクが高く、健診が難しくなることも認識して適切な健診を受けることが大切です。

平成29年10月31日産経新聞生活欄癌電話相談より。

脳転移でカルセドが効かなくなれば緩和医療

脳転移でカルセドが効かなくなれば緩和医療
78歳の夫は半年前、小細胞肺癌と診断されました。
腫瘍は右下葉に一箇所と脳転移が複数あり、全脳照射10回化学療法「カルボプラチン+エトポシド」を4クール行いました。
肺がんは一度収縮しましたが、再び大きくなり抗癌剤をカルセドに変更。
吐き気など副作用が出ました。
レントゲン上、腫瘍の大きさに変化はありません。
夫は高齢で認知症状もあります。
このまま抗癌剤治療を続けるべきでしょうか?

小細胞肺癌の脳転移で抗癌剤を続けるべきか?

ご主人はすでに脳転移があるので、全身の病気と考えられるため手術は有効ではなく全身の治療として化学療法を行うことになります。
また、小細胞がんは急激に進行するタイプですが抗癌剤が比較的効果が期待できます。
ただし、治癒を目指すものではなく、がんが一時的に小さくなることと進行を遅らせることが目的になります。

今回使われた「カルボプラチン+エトポシド」は標準的な治療で、カルセドもよく使われる薬です。
副作用が少し出ていますが、腫瘍のサイズが大きくならずに維持できているのでこれらの治療をどこまで継続するかが問題となります。

副作用には吐き気などの自覚症状の他に白血球減少による感染症や貧血と行ったものがあります。
今後、抗癌剤を投与してもがんが進行する場合、無理して継続することはおすすめしません。
1クールごとに効果と体調をはかりにかけ、どこまで頑張って続けるか考えることになるでしょう。
ただし、カルセドが効かなくなれば次の薬の効果はあまり期待できないので緩和医療に移行すると考えたほうがいいでしょう。

緩和医療を受けるには

ホスピス、緩和病棟と言われる施設以外にも緩和医療を行っている病院があります。
主治医に相談して通院のしやすさなども考えて決めるといいでしょう。

平成29年8月1日の産経新聞生活欄、癌電話相談より。

癌が見えないとアリムタを中止したほうがいい?

60歳の夫は1年2ヶ月前、肺腺がんステージ1bの診断で胸腔鏡下で左中葉切除術を行いましたが、胸水にがん細胞が検出され、ステージ4と診断されました。
術後化学療法で「カルボプラチン+アリムタ」6コース終了後、
維持療法としてアリムタのみ続行しましたが、感染症のため5コースで休止しています。
CT、MRI検査では再発転移なく、現在経過観察中です。
このままアリムタを中止したままでいいのか不安です。

肺がん4期、維持療法(薬物)の抗癌剤を再発すべきか?

肺がんの再発予防を目的とする術後補助化学療法は、カルボプラチン(プラチナ系薬剤)+1剤で4コースが通常です。
もし再発したら、そのとき改めて治療を開始します。

一方、転移がある4期の場合は
手術をせずに「カルボプラチン+アリムタ」であれば6コース程度行い、その後もアリムタを癌の増大が抑えられる限り続けます。
しかし感染症の他にも足の浮腫などの副作用が出て、長期的に続けるのが難しいことが有ります。

ご主人は手術時の胸水にがんが含まれているため微細な癌が体に残っている4期となります。
目に見える癌はないのでアリムタの効果を確認できません。
再発リスクはありますが、これまでにやれることはやっており、効果が見えない状態でこのままアリムタを続けるメリットより、デメリットのほうが大きいので続けることはおすすめしません。

EGFR遺伝子変異が陽性ならイレッサ

今後経過によってイレッサを検討すると言われています。
EGFR遺伝子変異が陽性であれば再発したとしてもイレッサなどの分子標的薬の効果が期待できます。
完治は難しいですが、癌の進行を抑えることは期待できるので長期生存できる可能性もあります。
ですから現時点であまり心配しなくても良いと思います。

減量でゼローダ単剤は副作用が少ない。仕事しながら化学療法

61歳の夫は3ヶ月前腹腔鏡下手術で大腸がん(横行結腸部)を切除しました。
腫瘍の大きさは2センチぐらいでリンパ節転移が1箇所有り、ステージ3aの診断でした。
術後補助化学療法のゼロックス療法(ゼローダ+エルプラット)を半年間8コースの予定で開始。
1コース後、下痢や冷や汗、頭痛、めまいが非常に強く、2コース目はエルプラットを減量しましたが、同様の副作用がでて中止。
継続は難しいと感じています。他に治療法はないですか? 続きを読む

T3尿管癌で腎尿管全摘、補助化学療法をします

70歳の男性です。
9ヶ月前人間ドッグの尿検査で異常があり泌尿器科を受診。
膀胱鏡と尿細胞診検査で膀胱がんが見つかり、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)を行いました。
BCG膀胱内注入療法を週1回、計7回施工しましたが尿細胞診が陰性化せずCT検査の結果、左尿管に癌が見つかりました。
左側の腎臓と尿管の全摘を受け、病理診断の結果、深達度はT3でリンパ節転移はありませんでした。
抗癌剤のGC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)を予定しています。
腎臓を片方摘出していますが抗癌剤治療をしても大丈夫ですか?

尿管癌で腎尿管全摘、補助化学療法しても大丈夫?

膀胱がんと尿管癌はどちらもほとんどが尿路上皮癌という種類の癌です。
腎盂、尿管、膀胱といった通りに道に多発しやすいので反対の腎臓と尿管が正常であれば尿管癌の場合、病気の側の腎臓と尿管を全摘します。

T3とはがんが尿管の外側の脂肪細胞まで及んでいるという所見です。
CTでわからないような小さな転移や週への癌の残存の可能性があるため補助化学療法をします。

GC療法は点滴の抗癌剤治療で、2~4コースぐらいします。
シスプラチンは腎臓への負担があり、腎機能が低下している場合には減量するか同系統のカルボプラチンに変更します。
副作用は食欲不振や軽度の脱毛、白血球、血小板の減少が主なものです。
抵抗力が弱るので感染症には注意して下さい。

転移が心配です。3ヶ月毎にCT検査をしていますが他に気をつけることは?

腎尿管の切除後は膀胱に再発することがあるので膀胱鏡、尿細胞診検査でもチェックしてもらって下さい。
今までにない痛みは骨転移の検査も必要です。

抗癌剤TS-1と喘息との関係は?

67歳の夫は4ヶ月前、胃がんのため胃亜全摘術を受けました。
リンパ節転移が5個あり、ステージⅡAと診断されました。
予防的に抗がん剤TS-1を1日120mg4週間飲んで2週休むという(4投2休)サイクルで開始。
2週間飲んだ段階で白血球減少、食欲低下のため休止。
100mgに減量して再開しましたが、ぜんそくの発作でて入院し、再び休止。
退院後食欲が回復して元気になりましたが抗癌剤によるサイド体調悪化への不安を主治医に伝えた所、
「TS-1はやめましょう」と言われました。
本当に中止でいいのでしょうか?

胃がん術後で抗癌剤TS-1は中止していい?

TS-1は進行した胃がんの術後1年間の服用が推奨されています。
約1割の患者さんの再発を防ぐことが臨床試験でわかっており、ご主人のようにリンパ節転移があり、
ステージⅡAの診断であれば内服をおすすめします。
ただし再発を予防するための治療なので極端に体調を悪化させてまで行う治療ではありません。
副作用が強い場合、量と期間を調節してうまく抗癌剤と付き合って頂く方法を取ります。

うまく抗癌剤と付き合う方法

ご主人は1日120mgから100mgに減量し、そこで中止されていますが、
さらに80mgまで減量することが可能です。
また4投2休から2投1休のゆおうに服用期間を変更する対応もあります。
胃の切除後、体調回復には時間がかかります。
術後経過により体調も変化するので副作用が1年間ずっと続くとは限りません。
体調さえ落ち着けば早めに再開するほうがいいとは思います。
もし希望されるなら主治医に再度そうだんされるといいでしょう。

胃がん術後で抗癌剤と喘息との関係は?

喘息が原因で抗癌剤が行えないということも、
抗癌剤が原因で喘息が悪化することも基本的にありません。
今回は抗癌剤と関係なくたまたま喘息の発作が起こったと思われます。

平成29年7月4日 産経新聞生活欄 がん電話相談から

脳は抗癌剤が効きにくいが遺伝子異常が有る場合は効果が有る

55歳の夫は2年半前に人間ドッグのPET検査で右肺上葉に二センチの癌がみつかりステージⅠaの肺腺がんと診断されました。
上葉切除術を行い予防的に抗癌剤UFTを1年間服用。
1年半前MRIで右前頭葉に1センチの転移が見つかり、ガンマナイフを実施しました。
半年前に突然けいれんを起こして救急車で搬送。
脳転移が2.3センチまで大きくなっており、緊急手術しました。
その後、髄膜播種が見つかりサイバーナイフを実施。
全脳照射も検討しています。
痙攣発作を繰り返し現在は足の麻痺がでて動けません。
今後どのような治療法がありますか?

肺がん術後、脳転移で再発

肺がん術後に脳転移で再発した場合、まずはサイバーナイフ、ガンマナイフなどでピンポイント放射線照射で脳転移を抑えていく治療となります。
しかし一箇所でも転移がでたということは、今後他にもでてくる可能性が高いので全身の治療を考えることも必要です。
抗癌剤は目に見えない微小ながんを抑えることを期待して使用します。

脳は抗癌剤が効きにくいが遺伝子異常が有る場合は効果が有る

脳は脳組織と血管との間に障壁があり、抗癌剤が行き渡りにくいと言われますが、実際使ってみて効く場合も有ります。
特にEGFR,ALKなどの遺伝子異常がある患者さんにはそれらの阻害剤(経口剤)の効果が期待でき、脳転移にも効果が期待できます。
癌の遺伝子異常を調べてみることを勧めます。

全脳照射は画像では見えない癌にも放射線をかけて治療するという考え方ですが、脳全体に当てると認知機能低下などのダメージを起こすことも有ります。
ただし治療後にすぐに認知症になるわけではありません。

抗けいれん薬と脳浮腫軽減のためのステロイド併用は問題ない?

髄膜播種が有る場合痙攣発作を起こすことがよくあるので抗けいれん薬はつづけることをおすすめします。

無症状の甲状腺がんを手術したくない。経過観察でもいい?

41歳の娘は健康診断のオプションで測定した腫瘍マーカー「抗P53抗体」が陽性で、詳しく調べた所PET検査で頚部にしこりが見つかりました。
甲状腺専門医を受診し、超音波検査と細胞診の結果、大きさ6ミリの甲状腺乳頭癌と診断されました。
リンパ節などへの転移はありません。
主治医から手術を勧められていますが娘は手術したくないと言っています。
経過観察でもいいでしょうか?

大きさ1センチ以下の甲状腺乳頭癌は手術しなくていい?

乳頭癌は甲状腺がんの中でも最も多く90%以上をしめます。
最近では健診などにより自覚症状がない段階で発見されるケースが増えていますが、
その多くは命にかかわる化膿性がほとんどないおとなしい癌です。

特に大きさが1センチ医科の乳頭癌を微小乳頭癌と予備、明らかなリンパ節転移や他臓器(肺など)への転移のない、いわゆる無症候性微小乳頭癌に対してはすぐの手術ではなく、
経過観察も十分治療の選択肢となりえます。
経過観察では半年から1年毎に腫瘍の大きさ(組織量)やリンパ節転移、遠隔転移の有無をチェックして腫瘍が大きくなり周辺臓器(反回神経・気管など)への浸潤を懸念する場合、あるいは大きさは変わらなくても
リンパ節転移の出現を認めた場合に手術を行うという考え方です。

今の状況でも今後転移する可能性は有りますか?

2~3%の患者さんでは経過観察中に腫瘍が大きくなったり、甲状腺の周りにリンパ節転移が出現したりすることがあります。
ただし定期てkな経過観察をしていればその時点で手術することで手術の合併症が多くなったり生命予後がわるくなったりすることはないと考えます。
手術もしくは経過観察治療のそれぞれのメリット・デメリットを主治医の先生とよくご相談の上納得がいく選択ができる状況と思います。

平成29年5月30日産経新聞生活欄、癌電話相談より。

食道がんで胃ろう、ステントで食事。自分で食事も期待

87歳のおばは1ヶ月前に食道がんと診断されました。
腫瘍が食道をふさいでいて食事ができず胃瘻造設。
高齢のため手術はできないと言われ10日間の放射線治療と抗癌剤の治療を行いました。
今後バルーンで食道を広げてステントを入れる治療を提案されています。
現在は放射線の治療効果判定を待っているところですがやはりこの年齢での癌の切除手術は無理でしょうか?

高齢で食道がん手術は無理?

進行した食道がんの手術は抗癌剤治療、放射線治療を組み合わせて行います。
その中で手術は中心的な治療になりますが、食道は頚部から胸部、腹部に渡る臓器であり、広範囲の手術操作が必要なことから、
食道がんの手術は消化器癌の中でも体にかかる負担の大きな手術だと言われています。

このため食道がんの手術を受けるには患者さんにもある程度の体力が求められます。
年齢だけでなく他の持病の有無や運動機能、呼吸機能、栄養状態など個別の患者算ごとの状況を踏まえて
手術に耐えられるかどうかを総合的に判断する必要があります。
今回の場合もこういったことを踏まえて手術は負担が大きく最適な治療法ではないと考えたのだと思います。

ステント挿入は治療方法として正しいですか?自分で食べられるようになりますか?

ステント挿入は食道がんによって食事が通らないといった症状を緩和するために一般的に行われている治療です。
食道はとてもほそながい臓器で癌ができるとこのように食事が通りづらくなることがあります。
これを放置すると飲み込んだ食事や唾液などを嘔吐してしまうようになりそれが原因で肺炎を発症する危険も有ります。
ステント治療を実際にやってみないとわからない部分はありますが、治療により口から食事を取ることも期待できるのではないかと思います。

平成29年5月23日産経新聞生活欄、癌電話相談より。

卵巣がん1年未満の多発転移では抗がん剤治療も効果なく手術も困難

48歳の女性です。
1年前卵巣がんステージ4と診断されました。
肝臓転移があり、抗がん剤でTC療法とDC療法を6ヶ月行ったところ、
肝臓の病巣は消失、直近のCA125の値は8.2でした。
主治医は手術のメリットはなく、CA125が上昇したら抗がん剤治療するといっています。
卵巣がんの治療は手術の併用が標準的だと聞きましたが、抗がん剤治療だけでよいのでしょうか?

卵巣がんは肝臓表面や横隔膜面にがんが播種しているときは3期、肝臓の内部に侵入したり、
転移して結節を作ったりしていれば4期となります。
抗がん剤がよく効くので4期でも5年生存率は30%ぐらいです。
3期は40~50%なので他のがん種に比べてステージによる治療成績の差が少ないです。

卵巣がん4期は抗がん剤治療だけでいい?

1~3期であれば手術と抗がん剤治療で相当程度までがんをなくせます。
4期でも肝臓転移やおなかの外に広がる転移(肺やリンパ節など)を切除できるなら
手術は有用かもしれません。
問題は治療前に4期であると、がんの浸入力、転移力が強力で
手術をしても病巣が取りきれない可能性が高いことです。

手術は患者さんの体力、免疫力を損ない、腸閉塞などの後遺症を招くこともあります。
そこで4期の卵巣がんでは抗がん剤治療を中心とする治療方針も選択されることがあります。

手術を選択できるタイミング

今回のように抗がん剤がよく効いた場合でも多くは再発します。
最後の抗がん剤治療から1年以上たってから、肝臓だけ、肺だけなど孤立性の高い再発であれば
再発部位を切除してはじめに用いた抗がん剤で治る可能性も有ります。
しかし1年未満の多発転移では抗がん剤治療をしても効果が少なく、手術も困難なケースが多くなります。

がん細胞の増殖能力を示すKi67値が低いと抗がん剤は不要?

28歳の女性です。
左乳房に最大3センチの腫瘍が4つ見つかり、浸潤性乳がんと診断されました。
HER2院生、ホルモン受容体はER、PgRともに陽性、Ki67の値は6%でした。
リンパ節や他の臓器への転移はありません。
半年前の術前抗がん剤治療(FEC療法4クールとドセタキセル4クール)後
の全摘術を提案されました。
セカンドオピニオンを受けたところ、
手術とホルモン治療だけですむ可能性も有るので
手術を先に行う選択もあるといわれました。

手術まで半年間も抗がん剤治療を行うのは不安です。
その間にがんは悪化しませんか?
また抗がん剤治療はどうでしょうか? 続きを読む

前がん病変の大きさは10ミリ近くになると早期の肺がんの可能性

54才女性です。
1年半前、胸部レントゲンで肺に影があり造影ctを受けたところ左肺の上葉に8ミリのすりガラス状陰影を指摘されました。
前がん状態(AAH)といわれ経過観察となりました。
半年ごとに薄切CT(TSCT)検査をしてきましたが、先日の検査で9ミリの大きさになっておりがんになる可能性があるとして、
胸腔鏡手術を勧められました。
すぐに手術したほうがいいのでしょうか?

肺の前がん状態、すぐ手術するべきか?

1年半で8ミリから9ミリになったのは誤差範囲内です。
明らかに増大しているとは言えず、すぐに治療が必要というものではありません。
CT検診のガイドラインではすりガラス状の薄い影で15ミリ未満のものは大きさが変わらなければ経過観察でいいことになっています。
半年後にもう一度CTして2年間で大きさが変わらず10ミリ以内に収まっていれば手術せず様子見でいいでしょう。
その後も年1回のCTによる経過観察は必要です。
陰影が薄くても大きくなる場合、大きさは変わらなくても影が濃くなったり濃淡が出てきたりする場合はがんが進行してきたと考えて治療を強くお勧めします。 続きを読む