子宮卵巣で術後化学療法をする低分化型や漿液性腺癌 4センチ以上 リンパ管 毛細血管

61歳女性です。
子宮体がんを腹腔鏡で手術しました。
子宮と両側卵巣、卵管を切除し手術後の病理診断でステージⅠA期、グレードG2と診断され、化学療法を勧められました。
術後化学療法は必要なのでしょうか?

回答 手術時の肉眼的所見や手術後の病理検査の結果

子宮体がんの手術は子宮、卵巣、卵管に加えて骨盤リンパ節郭清を行うのが標準的です。
手術後に化学療法を勧めるのは、手術時の肉眼的所見や手術後の病理検査の結果、

  • 骨盤リンパ節に転移がある(手術前Ⅰ期、手術後ⅢC期)
  • 卵巣や骨盤腹膜に転移がある(手術前Ⅰ期、手術後ⅢA期)
  • 子宮体部の筋層(子宮の壁)を越えて子宮の外膜に及ぶ(ⅢA期)
  • 子宮体部の筋層の2分の1以上深くに浸潤する(ⅠB期)

などの再発リスク因子が認められた場合です。
術後診断で子宮体部筋層の2分の1未満にとどまるⅠA期は、手術後の治療を行わないのが一般的です。

質問

ⅠA期間、G2で術後化学療法を勧められたのですが

回答 子宮体がんⅠA期で術後化学療法は必要?

グレード(悪性度)は癌の状態の悪さを指し、がんの分化度で決められます。
元の組織の特徴(子宮内膜に類似した性質)を多く残していればいるほど
高分化型G1で、中くらいは分化型G2,ほとんど元の特徴を残していないものは低分化型G3です。
分化度が低いほど状態の悪い癌です。

ⅠA期で術後化学療法を勧められるのは、低分化型や漿液性腺癌などの悪性度の高い癌、4センチ以上の大きい癌や
癌の近くのリンパ管や毛細血管に癌が浸潤しているなどの場合です。
化学療法を行う回数が重要で4~6回行うのが普通です。

今回の場合、骨盤リンパ節郭清をしたのかしなかったのか、どのようなリスク因子があるから化学療法をうけるべきなのかについて、
主治医に確認したうえで化学療法を開始するのがいいでしょう。

平成27年5月12日の産経新聞生活欄の癌電話相談より。