手術しないがん治療は動注で抗がん剤と放射線

公開日: : 最終更新日:2014/03/18 がん電話相談から 過去ログデータ

抗がん剤の動注で患部に。
宮崎県石巻氏の漁師70歳男性は2008年6月に宮城県立がんセンターに入院した。
2~3ヶ月前から右頬が腫れ、痛みやしびれを感じていた。
受診した病院からがんセンターに紹介され詳しく検査した所、頬骨の裏側にある上顎洞の粘膜から発生した癌であることがわかった。

癌は約8センチで握りこぶしほどの大きさがあり、右目の奥から脳の近くまで達していた。
手術で切除すれば顔の形が変わり、飲食や会話に大きな支障が出る心配がある。
そのためがんセンターで10年以上行っている動注化学放射線療法を行うことになった。

手術しないがん治療の動注化学放射線療法

「動注」とは、動脈注射を略した言葉で、脚の付け根の動脈から入れた細い管をがんのあるところまで血管を伝って通し、抗がん剤を注入する。
同時に静脈から解毒剤を入れ、重い副作用が生じないようにする。

高濃度の抗がん剤をがんのある部分だけに届けることができる。
抗がん剤の注入は週1回のペースで計7回。
この期間に週5回の放射線照射も行う。
がんセンターは、上顎洞がんで手術をすれば眼球も摘出しなければならない場合や、
口の奥の部分にある中咽頭がんで咽頭にも広がり、声を失う恐れがある場合に、この治療を行っている。

治療を行った19人の上顎洞がん患者について3年後の状況を調べた所、約7割の患者が生存していた。
宮城県立がんセンター頭頚科長の松浦先生は、抗がん剤ががんにいきわたっているかどうかを画像で確認することで治療成績は向上している。
機器を操作する放射線科と連携し、治療に当っていると説明する。

手術しないが辛い治療。だが完治も可能

ただ患者にとって決して楽な治療ではない。
男性は抗がん剤を入れた直後、ガスバーナーを当てられたような暑さを感じたと話す。
また右目は放射線の影響で視力を失った。

治療から5年半を経過した現在再発は見られず、がんは完治した。
失明で船には乗れなくなったが、息子を手伝い漁師の仕事は続けている。
命あっての物種というじゃないか。
たいした治療だと思ったよ。

動注は保険適用

動注化学放射線療法は保険で受けられるが、病院によって薬の投与方法などが異なる。
そのため宮城県立がんセンターや北海道大など14病院が統一した方法で治療を行い、治療成績を調べる臨床試験を今年から実施する予定。
体の機能が残ったよい状態で進行がん患者を救えるように治療の研究を進めたいと話す。

手術が難しい部位の根治の新しい手術をしない治療法ということで幅が広がります。

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