71歳の男性です。
2ヶ月前、胃カメラで食道がんが見つかり、T1bのステージ1と診断されました。
CT検査ではリンパ節転移はありません。
主治医から治療の選択肢として手術と化学放射線療法(放射線治療と抗がん剤治療を同時にする)を提示されました。
3年前、胃がんで胃の3分の2を切除しています。
このため手術で食道を切除すると胃ではなく大腸を持ち上げて食道の通り道を再建することになり、通常より難しい大手術になると説明を受けました。
手術と放射線療法では治療成績はどれぐらい違いますか?
大手術になっても手術したほうがいいのでしょうか?
一般的に第1期食道がんの5年生存率は手術の場合80%です
一方、化学放射線療法では90%が癌がいったん消えますが、3割は再発します。
再発してからも手術は可能なので再発後に手術した例も含めて過去の臨床試験では化学療法の4年生存率は80%ぐらいです。
手術と化学放射線療法の生存率は大きく変わらず、現時点ではどちらも標準治療と考えられます。
手術の利点
手術の利点は病巣と一緒にリンパ節を含む周囲の組織を切除して病理診断するので根治治療ができること、また正確なステージがわかることです。
しかし体への負担(侵襲)が大きい治療であり、合併症などのリスクがあります。
化学放射線療法は手術を回避することができますが、確実性は手術より劣ること、近接する心臓や肺への放射線による障害のリスクがあります。
主治医とよく相談し治療法を選択しましょう。
抗がん剤の副作用
放射線と併用することで毒性gあ強く出る場合がありますが、副作用を抑えるいい薬もあります。
うまく乗りきり治療を完遂することが肝要です。
平成28年9月13日火曜日の産経新聞生活欄より。