卵巣がん1年未満の多発転移では抗がん剤治療も効果なく手術も困難
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がん電話相談から 過去ログデータ
48歳の女性です。
1年前卵巣がんステージ4と診断されました。
肝臓転移があり、抗がん剤でTC療法とDC療法を6ヶ月行ったところ、
肝臓の病巣は消失、直近のCA125の値は8.2でした。
主治医は手術のメリットはなく、CA125が上昇したら抗がん剤治療するといっています。
卵巣がんの治療は手術の併用が標準的だと聞きましたが、抗がん剤治療だけでよいのでしょうか?
卵巣がんは肝臓表面や横隔膜面にがんが播種しているときは3期、肝臓の内部に侵入したり、
転移して結節を作ったりしていれば4期となります。
抗がん剤がよく効くので4期でも5年生存率は30%ぐらいです。
3期は40~50%なので他のがん種に比べてステージによる治療成績の差が少ないです。
卵巣がん4期は抗がん剤治療だけでいい?
1~3期であれば手術と抗がん剤治療で相当程度までがんをなくせます。
4期でも肝臓転移やおなかの外に広がる転移(肺やリンパ節など)を切除できるなら
手術は有用かもしれません。
問題は治療前に4期であると、がんの浸入力、転移力が強力で
手術をしても病巣が取りきれない可能性が高いことです。
手術は患者さんの体力、免疫力を損ない、腸閉塞などの後遺症を招くこともあります。
そこで4期の卵巣がんでは抗がん剤治療を中心とする治療方針も選択されることがあります。
手術を選択できるタイミング
今回のように抗がん剤がよく効いた場合でも多くは再発します。
最後の抗がん剤治療から1年以上たってから、肝臓だけ、肺だけなど孤立性の高い再発であれば
再発部位を切除してはじめに用いた抗がん剤で治る可能性も有ります。
しかし1年未満の多発転移では抗がん剤治療をしても効果が少なく、手術も困難なケースが多くなります。
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