息苦しさの危険信号。気胸は確実に治したい。
気胸とは肋骨や筋肉で囲われた胸腔という空間に収まっている肺に穴が開くと、
肺の中の空気が漏れて肺が縮む。
左右どちらかの肺に起こることが多い。
自覚症状は突然の呼吸困難。
突然ちじんで呼吸ができない、胸痛や動悸。
日産厚生会玉川病院 気胸研究センター長 栗原正利
治療するポイント
気胸は一つの病名ではなくて肺に穴が開く状態を示す。
様々な原因がある、若い人と高齢の人で治療が違う。
肺の病気の状況に合わせて年齢に応じた治療。
100%ひとつの治療法では治らない。
特に多いのは2つの年齢層
15~25歳 痩せ型 背が高く 男性
60歳以上 男性に多い
若い男性の場合
肺の表面に風船(膨らんだ肺のう胞)に穴が開いて肺がちぢむ。
体の成長と肺の成長との間にアンバランスが生じ、肺が無理やり引き伸ばされると考えられている。
中高年の男性の場合
●COPDや間質性肺炎が代表的例
病気があって進行して気胸になると言うケース。
COPD肺には気管支がわかれて肺胞をつくっている。
COPDになると肺胞が破壊されてひとつの空間を作る、それが破れやすい。肺胞がたくさんある状態。
●間質性肺炎の原因
間質は、肺胞の間の壁がなんらかの原因で炎症を起こし、繊維化。
肺胞同士が融合して繊維化で硬くなりもろくなるそしてやぶれやすくなる。
突然の呼吸困難気胸かもしれないどうすればいい?治療法
とりあえず早めにレントゲンで重症なのか軽症なのかを調べる。
初期治療は安静もしくは胸腔ドレナージ。
自然とふさがって膨張して直る。時間がかかる。
高度な気胸であれば胸腔ドレナージをする。
チューブを胸壁に穴を開けていれて機械をつけて中の空気を抜き出す。
通常入院だが、中度であれば携帯用の外来ドレナージキットっていうのもある。
肺の穴を修復する根本的治療も必要。
手術は胸腔鏡のための1cm程度の穴を2~4箇所あけて、のう胞の部分切除。
焼いてもしくは縫いちじめる。
それだけでは再発してしまうため、それ以外の治療をしていかないといけない。
手術後のカバーリングは、切除した部位を特殊なメッシュを当てる。
ちいさな見えない肺のう胞や切った周辺の新しいのう胞をメッシュにより強度を補強する。
どんなケースでもできる?
出来ない場合 高齢者の場合 手術が危険な場合
COPD 間質性肺炎 手術が出来ない場合
すべてができないわけでははない
最近考えられたカテーテル気管支鏡での治療。
開いた穴に対してドレーン細いカテーテルを穴が開いている部位からいれ、
そこに生体糊でふさぐ。血液からとったたんぱく質でふさぐ。
他にも気管支鏡の場合は、シリコンでできた栓を気管支に入れて詰める。ワインのコルク栓のように栓をし、その先に空気が行かないようにするなど。
適切な治療で不安をなくそう。気胸の原因と特徴を踏まえ、
専門家、肺外科医に相談し呼吸困難の再発を防ぐ。