ドクターGの乗る飛行機でもう一人患者が。
CAが急に息が苦しいと言い出した。
30歳 客室乗務員
主訴息が苦しい。初めてです。
体温36.5度
血圧100/80
脈拍96回
呼吸数26回
息が苦しい 左胸が痛い
どのような痛み?ズキンというような痛み。
脈が少し速い。
リンパ、気管、頸元は異常なし。
下肢のむくみ無し。
横になっても苦しさは変わらない。
生理中ではない。生理不順。ピルを服用しています。
搭乗前にかわったことは?
気になることは、ちょっと筋肉痛。
手とか足とか腹筋はましだったが、
発症4日前、ボルダリング。崖上り。
翌日体中筋肉痛。
脈が弱くなった。ハワイまであと1時間。
到着次第緊急搬送の用意を。
診察開始から20分
血圧が75/55
成人であれば90を切れば、ショック状態、生命が危険な状態。
息の呼吸のパターン、ハッハッハッハ。
(左肩が痛いは心筋梗塞?ピル飲んでるから血栓できやすいし)
緊張性気胸
左の胸痛、急に血圧が低下。
命に関わる危険な病気。
肺に開いた穴から漏れた空気が肺の外側にどんどんたまり呼吸ができない
心臓を圧迫すると急に血圧が下がり30分で死に至る。
穿刺をして注射針を刺す。
胸に注射針を刺して肺の外側に溜まった空気を外側に出す脱気。
しかし
そうでなかったら、
肺に穴を開けて更に悪化することも。
診断が外れたら?
診断が外れたら医者が気胸を作ることになる。
呼吸状態がよけい悪くなる。
緊張性気胸の所見は?4つの特徴
- 気管の偏位
- 胸の動きの左右差
- 頚動脈の怒張
- 首もとの皮下けっしゅ(空気がたまる)
合わない。
どうやって診断するか。
打診、聴診、聴診、レントゲン、エコーすべてない。
肺血栓塞栓症
ロングフライトの後半。
ピルを飲んでいる(血を固めやすくするホルモンが含まれている)
治療法は、気管挿管したい。
飛行機内の医療器具
気管挿管の方法
喉頭鏡を使う。
必ず電気がつくか確認しましょう。
意識レベルが下がっている患者の口から管を挿入。
固定する。ここから強制的に肺に空気を送り込む。
肺塞栓は肺に酸素を送るとよくなる。
自発呼吸が出来なくても酸素を送ることができる。
もし緊張性気胸だったら?
空気が肺の外側に詰まっている。
その圧力で心臓が血液を送り出すことが難しい。
そこへ空気を強制で送るとわずか4~5分で死に至る。
脱気か気管挿管か?研修医は混乱
ドクターGはどちらを選択したのか?
脱気の針を横に置いた。
空気を送り込み、患者に変化。
左胸が持ち上がる。
頚状脈の怒張、首の皮下きしゅ、気管が右にずれた。
ドクターGは用意していた注射針を手にした。
緊張性気胸。
答えは挿管してから脱気
両方の可能性。
どちらでも助けられる処置をおこなった。
恐ろしいのは見切り。
教科書と違う。
緊張性気胸ではソウカンはダメ。
実際の症例では、半数がソウカンしてから診断すると知っていれば、
あらかじめ気胸の準備をしておく。
注射針だけでは空気を抜けない
左脇にメスを入れ、太目の管を挿入。
管を入れるだけでは不十分。
空気が抜けてもまた入ってしまうからだ。
病院では空気逆流しない装置があるが飛行機ではない。
ペットボトルの水。
管の先端を入れた。
ペットボトルの水があると空気が逆流しない。
飛行機の中で医療器の代わりのものを見つけ出す。
半年で職場復帰した。
ファンタジスタが重要。創造性に富んだ人間。
災害医療や飛行機、新幹線ではない。
誰かがやらないときに自分がやりましょうという医者になって欲しい。