意識がない。ドクターGらしい主訴でした。
部屋がちらかっている
花がしおれている
だいぶ前からこんな状態か。
すごいいびき。救急車で運ばれる。
30歳女性 アパートで意識がない状態で発見され 救急車へ
これは事件ですよね。
(愛知県の藤田保健衛生大学病院 植西先生 集中治療室)
患者の多くは自分で症状を訴えられない
病状は思い 時間は限られている 違和感にこだわる
少しでもつじつまが合わないと病名は決めつけない
すべてに納得るまで診る。
救急車到着時
気管挿管 採血と血液培養も 血液培養2セット 尿検査
JSC3-300 痛みに少し反応する
経静脈 怒張 有
眼瞼結膜 点状出血
心雑音あり
対光反射 あり (瞳孔が光で小さくならないと異常)
角膜反射 あり 目を閉じないと異常
痛みの反応 胸を抑える 除皮質肢位が見られる
浮腫 あり
足の指に 紫斑あり
バビンスキー反射 あり 足の開くと異常
バンコマイシン セフトライアキソン 準備
血液培養1セット追加 CT取りましょう
CT脳出血なし
髄液検査の後、MRIで確認しましょう
家族は明日一番の飛行機で札幌からくる。
友人が第一発見者。
見つけたときの様子は?
3日前から連絡が取れないから家に行ってみた
大家に開けてもらった 嫌な予感がして
電気をつけたら部屋がめちゃくちゃでびっくりした
ベッドから落ちてぐったりしていた
仕事は?
家電メーカー勤務
一か月ほど前 仕事で失敗して悩んでいた
間違って発注した
そのころから会社を早退するようになった
2週間前から休んでいた
最近会ってた?
10日前にあった 友人は旅行雑誌の仕事
その時の様子 すごくへこんでいた うつ病かと思った
「あたしなんかいない方がいいのかな」って。仕事のことを考えると痛いと言っていた。
頭はどんなふうにいたかったかはわからない。
熱はないようだった。
関節が痛いような感じもなかった。
足がむくむと以前から言っていた。
会社を休む少し前から。
最後に話したのは?
3日前。
「間違って変な商品発注しないでよ」と怒って電話を切られた。(意味不明な発言と怒り)
三浦さん 腎不全のため 人工透析を開始します。
心臓のエコーは異常なし
経食道心臓エコーでもう少し見る。
先生心臓の弁を見てください!
心臓弁に疣贅が写っている。
バイタル
年齢30歳女性
体温38.3度
血圧146/102
脈拍124回/分
呼吸数12回/分
酸素飽和度100 10L酸素バッグバルブマスク換気
呼吸は12回で正常だけど、呼吸が弱い人に対して酸素で無理やり呼吸。
呼吸がおかしくなっている。
胸が上がらないといけないがちゃんと上がらない。
血液検査結果
わりと命の危機ですよね。
研修医の病名
感染性心内膜炎
血液の中にばい菌 心臓の膜や弁について 機能低下
全身に回る
発熱 だるさ 頭痛 腹痛
疣贅という 血や細菌の塊を作り 脳に詰まり、脳梗塞を引き起こすこともある。
脳の症状いっぱいあった。
いびき 脳梗塞 のどや舌の筋肉が落ち込み 上気道がふさがれていびきが起こる
除皮質肢位 強い痛み刺激 反応のひとつ 大脳の広い範囲に異常があると払いのけることをしない
突然怒りだした
頭痛
抑うつ
部屋がちらかっている
感染性心内膜炎によって脳になんらかの異常があったと説明がつく。
ならば、
足のむくみや
紫斑
はどうなのか?
ばい菌がそこで塞栓を作っているのか?
足の毛細血管で詰まる 結膜の点状出血、
すべて感染性心内膜炎で説明がつく。
頭部MRIで感染性心内膜炎で違和感がある
撮影の条件を変えることで分析ができる
彩さんは
脳に炎症 脳梗塞がところどころに起きている。
感染性心内膜炎では説明がつかない。
自己免疫 SLE全身性エリテマトーデス 自身の抗体が様々な場所を攻撃
関節 皮膚 腎臓 血管 で炎症
脳にも浮腫や炎症 異常行動 意識消失 脳梗塞で死に至ることもある
SLEでも40%に心臓に疣贅がある。
SLE全身性エリテマトーデスでもすべての症状に説明がつく
抗生剤かステロイドどっちか?
なぜなら治療法が異なるから。
感染性心内膜炎では抗生剤による治療。
SLEであれば免疫を抑えるステロイドでの治療。
どうすればいいのか!?
SLEの診断は特徴的な自己抗体を調べると3~4日かかる。
見極める手立てはほかにないのか?
意識障害で運ばれた時の血液培養の結果が見たい。1~2日強毒素~5日~7日かかる。
家族のムンテラ
持病はない
健康の診断で心臓の病気を指摘されたことはない
鼻のまわりに赤い発疹はない
最後に4か月前に会った。
変わりはなかったが太った。
来院三日目容態悪化、自発呼吸がない
39度 血圧118/68 脈92 対光反射なし
血液培養 細菌検出 3セットのうち1セット
(抗菌薬の効果が出るまでに数日から一週間かかることがある)
SLEの理由
血培が一セット 感染性心内膜炎の可能性が低い
4か月目からのむくみ症状 4か月前のむくみは心内膜炎は考えにくい
若い女性は足よくむくむ。
病気の症状とは断定できない。
3日後ブドウ球菌がでた。ブドウ球菌の種類
腐性ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌 毒性が一番強い
表皮ブドウ球菌 皮膚に多くいる。採血時に皮膚から血液に混入することがある。
血培3セット中1セットだと皮膚のブドウ球菌が出た可能性がある。(混入の可能性だから感染性心内膜炎の可能性が低い)
1週間かかる菌もいるので感染性心内膜炎だと言えない。培養に3日以上かかる菌もある。
すでに呼吸は止まっている。
パルス療法
ステロイドパルス。大量のステロイドを3日間点滴する治療法。
大量投与療法。自己免疫疾患なら効果は早く出る。
感染性心内膜炎の可能性が残るならできない。
自発呼吸無し 対光反射消失 脳幹 生命の維持の機能が止まりかけている。
SLEで脳梗塞と浮腫と炎症と診断でステロイドパルス開始
治療法の判断がつかいときは家族に判断をゆだねる。
診断がつかないのに治療を始めることもある。
ステロイドパルス開始。
来院四日後。
抗核抗体 陽性 Ds-DNA抗体陽性
答えは全身性エリテマトーデス。
感染性心内膜炎で突っ走りそうになった。そのままだったら亡くなっていた。
3か月後に脳の炎症と浮腫は収まった。
脳梗塞が少し残り左足麻痺がのこったが歩けるしコミュニケーションも取れるまで回復した。
これだ!に騙されてはいけない。
違和感がある。違和感を大切にしてほしい。
(私の感想はまたでました膠原病と思いました。)