近年ヒトゲノムの解析によって病気の遺伝と遺伝子の謎が明かされつつあります。
その結果を診断や治療に応用する外来が大学病院を中心に増えているのです。
おそらくこれは実費医療なのでお金持ち医療といえばそれまでですが、(お金持ちの家は遺伝子治療で高額な医療を受けることもおかしくはない)難病家系などの遺伝子治療での改善などに大きな期待があると思います。
遺伝診療科の大きな役目の一つに遺伝カウンセリングというのがあります。
年間2000人以上の利用者がいる東京女子医科大学付属遺伝子医療センターの斎藤加代子所長(臨床遺伝専門医 指導医)の夕刊フジの掲載を参考に書き出しました。
遺伝子検査は遺伝病や癌を予測できる
遺伝や遺伝子に関する疑問や悩みなどの相談に対して医学的にわかりやすく説明します。
遺伝性疾患などで相談者やその家族に不安があれば遺伝子専門の心理士による心理面のサポートも行います。
相談は病気、体質、出産など多岐にわたり、本人がどう解決したいのか要望を聞きながらアドバイスしてくれます。
保険は一部の難病にしかきかないので実費負担。
東京女子医大では30分で約8000円、60分15000円の費用が必要になる。
遺伝カウンセリングを受けた上で医療スタッフが討議し、妥当性があれば遺伝し受ける検査を受けることも可能になる。
発症するしないは別にしても、誰でも10個ぐらいは遺伝子の変異と言う病気の元を持っていると所長は話す。
いわゆる癌家系(医療ドラマ仁でもヒロインが乳に石がある乳癌家系だったり、ダウン症の染色体変異だったり)といわれる家族性腫瘍もそのひとつ。
乳癌や卵巣がんなどがん抑制遺伝子の変異を親から受け継いでいるケースがある。
親の遺伝子変異がわかれば子の遺伝子検査により若いうちに癌になる可能性がわかる。
リスクがあれば癌の検査をきちんと受けて早期発見に役立てられる反面、メンタルに影響も与えるので遺伝子検査を受ける前後の遺伝カウンセリングやフォローアップが不可欠という。
遺伝子検査は採血だけですむ
遺伝子検査は採血だけですむが、一番のネックはカウンセリング同様、一部の難病しか保険適応されていない。
家系で調べていく場合、最初の検査(家族で発病している人)で最低10万ぐらいかかるという。
金額で引いてしまう人がいるので、がんの早期発見を考えると、家族性腫瘍の保険適応は拡大してもらいたいと今後の進展に期待する。
一方治療の分野では遺伝子検査を用いたオーダーメイド投薬がはじまっていて抗がん剤や抗けいれん剤など聞くかどうか、副作用が出やすいかどうか個別の予想が可能になりつつあるという。
1.K-ras遺伝子検査
抗がん剤「パニツムマブ」や「セキツシマブ」がよく効くか予想できる。
対象の癌は大腸がん。
2.UGT1A1遺伝子検査
抗がん剤「イリノテカン」の副作用が強く出やすいかを予測できる。
対象の癌は肺がん、大腸がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳癌、精巣腫瘍。
3.HLA遺伝子検査
抗痙攣剤「カルバマゼピン」の副作用の躍進が出る体質かどうか予測できる。
1と2は保険適用3割負担で6000円ほど、3は臨床研究で東京女子医大で実施できる。
私的な感想だが、遺伝子治療は、まだ治療までは遠い。
だが、お金持ちや、難病家系の遺伝子治療などの判断はこれからの子供や人生のために非常に有益なものだと思う。