アル中の酒を飲みたくなくなる薬が登場

公開日: : 読売新聞、産経新聞の医療欄

アルコール依存症(アル中)に新薬が登場という産経新聞の生活欄からです。
酒の飲み方をコントロールできず、心身だけでなく人間関係をも壊してしまう恐れのあるアルコール依存症。
治療と再発防止には生涯にわたる断酒が必要。
こうした中、アル中向けの新しい薬が5月登場した。

飲酒に寛容な社会環境の中で生涯の断酒は患者にとって誘惑が多く、
神経系に作用するとされている新薬の効果に期待が寄せられている。

アル中の推定患者80万人

アルコール依存症は量や飲むタイミング、状況を自分でコントロールできなくなる精神病。
習慣的な飲酒でアルコールへの耐性がつき、量も徐々に増えて酒が欲しい精神状態に陥る。
体からアルコールが切れないように数時間おきに酒を飲むアルコール中毒、いわばアル中状態。

連続飲酒へ移行すると、体内からアルコールが切れたとき、
手の振るえや多汗、睡眠障害(不眠)、下痢、幻聴、幻視などさまざまな離脱、禁断症状が表れる。

アルコール摂取が続けば肝臓だけでなく循環器や消化器などにも疾患を併発したり、不慮の事故で死に至ったりする。
薬物中毒と同じで治療法は断酒しかない。
厚生労働省の各種調査によると、全国で治療中の患者(平成23)年は、約4万人。
推計患者は(平成15年)は約80万人という。

飲むと気持ち悪くなる薬でなかなか断酒は難しい

断酒中のアル中向け処方薬といえば、これまでノックビン(一般名・ジスルフィラム)
とシアナマイドがあり、いずれも抗酒薬。
アルコール分解過程を阻害し、コップ1杯程度のビールでも吐き気や眠気、顔面紅潮などを引き起こす。
アルコール依存症の治療に取り組む国立病院機構の久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)
の樋口進院長は、「酒を飲んで不快感や体調不良になれば、飲み続けられないのを利用したもの。
しかし飲酒の予防にはなるが、精神依存を解くものではない」と話す。

新たな選択肢、酒を飲みたい気持ちがなくなるレグテクト

今回登場したレグテクト・同アカンプロサートカルシウムは、断酒補助剤で中枢神経系に作用する。
アル中状態で異常に活発し、飲酒欲求を引き起こすようになった神経を抑制し、酒を飲みたくなくなる。

昭和62年、フランスで薬事承認後は欧米を中心に広がり、24カ国で発売されている。
22年に厚生労働省からの開発要請が契機となり国内導入された。

レグテクトは断酒中の患者で専門医療機関での精神療法や自助グループに参加するなど、心理社会的治療の併用が必須だ。
岐阜県で専門医療機関の各務原病院(かかみがはら)では、入院・通院患者の約200人が服用した。
このうち、震えや幻覚など離脱症状を抱える50代の女性重傷者は服用当初は断酒したものの、
一ヵ月後には「飲みたい気持ちがなくなった」と話し、
家族が残した酒も飲むことがなくなったという。

レグテクトの効果は約4割

天野宏一理事長兼院長によると、従来の治療では断酒が続く患者は3分の1程度。
レグテクトの臨床試験では6ヶ月の連続服用で47.2%、
服用中止後も4割弱の患者がそれぞれ完全断酒したという。

服薬効果は連続服用期間終了後をみなければならないと指摘。
そのうえで、依存を自ら認め、心理社会的治療がないと生涯断酒は困難。
その状況は変わらないないが、抗酒薬との併用も可能な新薬の登場で新たな選択肢ができ、治療推進に繋がるのではないかと話す。

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