最も簡単な移植!健康な便を大腸炎患者に移植。
潰瘍性大腸炎(UC)などの腸の重い病気の人に健康な人の便を移植する臨床研究が国内で始まっている。
腸内細菌のバランスの乱れが病気を引き起こすとみられており、細菌の宝庫である便でバランスを整えようという狙い。
人間の腸内には1000種類、100兆個以上の細菌が住んでいる。
これらは腸管から栄養を吸収したり病原体の感染を防いだりといった重要な働きをしている。しかし、潰瘍性大腸炎などの腸の病気の患者は、細菌の種類が少なかったり、個数が少なかったりする。
こうした腸内細菌のバランスの乱れは、食生活の乱れや運動不足、ストレスなどが原因とみられている。
便移植は、こうした患者に健康な便を移植する治療法だ。
細菌性腸炎が薬なしで治る!?
詳しい理由はわかっていないが、細菌のバランスが整った健康な人の便が細菌の乱れを抑える可能性があるという。
オランダの研究グループが昨年、米医学誌に発表した論文では、下痢などを引き起こす菌による感染症の患者について、抗生剤による従来の治療は2~3割の人にしか効かなかったのに対し、便移植は9割以上に効果があったとしている。
これを受け、国内でも移植の臨床研究が動き出した。
最初に始めたのは慶応大学だ。
3月下旬、1例目となる潰瘍性大腸炎の40代男性に便移植を行った。
男性は従来の治療を試したが、効果がなく繰り返す下痢に悩まされていた。
便移植の方法
方法は単純だ。
健康な人の大便を生理食塩水と混ぜ、フィルターでろ過する。
それを注射器に入れて、内視鏡で大腸の奥に注入する。
便の提供者は配偶者か2頭等以内の家族に限定する。
提供者の便に有害な病原体が含まれている恐れもあるため移植する前の便検査は入念に行われる。
対象は潰瘍性大腸炎のほか、過敏性腸症候群、腸管ベーチェット病患者の45人。
慶応大学消化器内科教授の金井先生は「便100gには乳酸菌飲料200本分の細菌が含まれている。
今後の研究で、便に含まれる菌と病気の関係がわかれば画期的な治療につながるかもしれない」と話す。
順天堂大学も6月から臨床研究を始めた。
対象は潰瘍性大腸炎の患者30人。
便移植の前に2週間、3種類の抗生剤を投与するのが特徴だ。
便移植の細菌性腸炎が治るのなら…
この便移植は効果があれば将来には薬になるかもしれないですね。
他人の大便から作られる薬。
抗生剤を使わない治療法は画期的です。
便の提供者は記事によれば血液型とか関係なく誰でもいいらしい。
今はアフリカなどの抗生剤の乱用で耐性菌などが発生し問題になっています。
世界を救う薬になるのかもしれませんね。
平成26年8月31日読売新聞のくらし欄より。