突然嘔吐する下痢がないような患者を疑うのは血管の病気です。
心臓の血管が詰まる心筋梗塞や、肺で詰まる肺梗塞、脳の血管が破れるくも膜下出血などですが、
これは消化器ではなく循環器や脳外科の病気です。
下痢しないのに吐いたりするときは要注意
お腹が原因でない重症な病気を疑うポイントの一つは下痢がないこと。
この場合、患者が「下痢してます」といっても、1回ぐらいの下痢は下痢ではないかもしれず、複数回の下痢が続くなどがなければ危険な病気を疑い、慎重に調べます。
お腹の痛みの種類
お腹の痛みを表現する言葉に、上腹部痛、下腹部痛、心窩部痛、右側、左側、背部痛などの言葉があります。
それぞれの言葉ごとに、よくある病気というのがあります。
- 上腹部では、胆嚢炎、心筋梗塞、急性肝炎、大動脈瘤破裂など。
- 下腹部では、イレウスや食中毒、大腸炎、大腸癌など。
- 心窩部では、胃アニサキス(川魚などの寄生虫)、急性膵炎、腸間膜動脈閉塞、大動脈瘤、心筋梗塞や虫垂炎など。
- 右側、左側、背部痛では、尿路結石や心筋梗塞、肺炎、胸膜炎などがあります。
突然の激痛に注意
下痢以外のポイントは症状が突然始まったかどうかです。
突然とは、ある時点から急激に症状がはじまったということです。
たとえば「テレビを見ていてこの場面の瞬間で起きた」と、はっきり始まりを特定できるような状況です。
こうした症状が今までに経験したことがないようなもので、悪化傾向をたどるような場合、かなり危険なサインといえます。
突然の嘔吐で下痢がなく、今までのおなかの風邪とは違う重症な感じがあり、改善することなくだんだん悪くなる場合、これはおなかではないもっと重症な病気を疑う必要があります。
こんなときは急いで少し大き目の病院に行くことをお勧めします。
突然始まり、いまだかつて経験したことがないような症状がだんだん悪化する場合は、風邪ではない病気を考えましょう。
これはおなかの病気に限ったことではありません。
胸が痛い胸痛、頭が痛い頭痛なども同じです。