便失禁は出産を経験した50~60代女性に多い

出産や手術により肛門周辺の括約筋が損傷を受けるなどし、
自分で排便をコントロールできなくなる「便失禁」。
これまでは投薬による治療が主だったが、ペースメーカーを体内に埋め込み、
微弱な電気刺激を与える治療法が保険適用になった。
在宅仙骨神経刺激療法指導管理料 810点

この治療を受けた患者の7割に改善が見られており、治療の選択肢が広がっている。
一人で悩みがちな疾患だが専門家は「便失禁、便漏れには専門外来」に相談してほしいと呼びかけている。

便失禁の患者は国内に約500万人

便失禁の患者は出産を経験した50~60代女性に多い。
重度の糖尿病患者や直腸がんの手術後などにも起こるといい、
現在国内に約500万人いると推定される。

初期症状としては排便した後の切れが悪く、本人の意思に反して漏れるようになり、徐々に失禁の頻度が高まっていく。
便は軟便に限らず、硬い場合もあり、下痢の症状とは大きく異なる。
起きているときだけではなく就寝中でも漏れてしまうこともあるのでおむつを着けて生活している患者もいるという。
便失禁に詳しい関西医科大学付属滝井病院副院長で外科部長の吉岡和彦さんは、「便失禁のため、外出を避けるようになったり、
家族にも言えず悩む患者さんが多い。生活の質がきわめて低下する疾患と言えます」と話す。

便失禁にペースメーカーで7割改善

今回保険が適用された手術は「仙骨神経刺激療法」。今回保険が適用された手術は「仙骨神経刺激療法」。
K190-6 仙骨神経刺激装置植込術 40,280点
心臓用ペースメーカーとほぼ同じ形状をしている神経刺激装置を臀部から埋め込み、
排泄をつかさどる「仙骨神経」に電気刺激を与えることで症状を改善する。
改善の詳しいメカニズムは不明だが、これまで約7割の患者に改善が見られたという。

手術は2段階に分けて行われる。
刺激装置の埋め込み前に体外から仙骨に細いリード(電極)を通し2週間ほど電気刺激を与えて様子を見る。
治療効果が得られた場合に、改めて刺激装置をリードにつなぎ、植え込む手術を行うという。

便失禁ですぐ手術をするわけではない

装置の電池は長くても7年で切れるのでその際はバッテリー交換のための再手術が必要だ。
改善が認められる手術ではあるが、便失禁だからと言っていきなり手術を勧められるものではない。
投薬治療をして十分な効果が得られずとも「病気と付き合う」という選択をする患者もいる。

様子を見たうえで患者さんの意思を確認しながら手術を行うかどうか決定します。
排便に関する疾患ということから受診をためらうケースも多い。
便失禁と便漏れの症例

便失禁にも薬がある

便失禁は、過敏性腸症候群の薬であるポリカルボフィルカルシウムを使うことも出来ます。
水分を吸収してゲル化、水のような下痢を和らげることが目的です。

患者さんの中には症状を受けてもらえて気持ちが楽になったという人もいます。
一人で悩まず専門医に相談してほしいと話している。